日本国憲法 第21条第1項


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 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

日本国憲法 第三章 国民の権利及び義務 条文一覧






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以下、解説です。


【日本国憲法21条1項解説】

憲法21条1項は、いわゆる「表現の自由」について定めたもので、民主主義国家の基盤となる、基本的人権の中でも非常に重要な条文のひとつだと言えます。民主政治を実現するためには、主権者である国民が、政治的意思決定のために自由な言論が保障されていなければならないためです。
また、基本的人権を持つ国民は、政治的な側面以外でも、自己実現のために自由な言論が保障されるべきだとも言えます。

しかし、表現の自由は無制限に保障されるものではありません。その表現が誰かに向けられることで他者の人権を侵害する可能性もあるため、表現の自由は「公共の福祉に反しない範囲」で有効だと解釈されています。

憲法は公法であるため、憲法で表現の自由を保障することは、「国民は国家権力から不当に表現を規制されることがあってはならない」と定めるものです。そのため、当事者の自由意思による私法関係上の契約等で制限を受けることについては、それを無効にするものではありません。
実際に、「学校に雇われるにあたり、校内で政治活動を行わないことを条件として雇用されたケース」について、その契約を無効にするものではないとした判例(雇傭契約解除無効確認俸給支払請求事件)もあります。

ここで問題となってくるのが、公務員の表現の自由についてです。
公務員は、国家公務員法102条により、政治活動の自由が制限されています。これが表現の自由の侵害にあたるかについて、猿払事件や厚生労働省職員国家公務員法違反事件(通称、「堀越事件」)などで取り上げられていますが、猿払事件の判決において、裁判所は次のように判断しています。

・そもそも、公務員もひとりの人間であることから、政治活動の自由を含む表現の自由が認められる。
・しかし一方で、憲法15条2項に定めるように、公務員は全体の奉仕者でもあるため、「合理的で必要やむをえない限度の制限」は許容される。
・ただし、その判断は、禁止する目的、目的と禁止する政治的行為の関連性、政治的行為を禁止する利益とそれにより失われる利益とを比較考量する必要がある。

このような基準にもとづき、公務員の政治活動の自由を制限する国家公務員法102条(1項)は憲法21条に違反するものではないとしました。

 

2023年9月2日 ご執筆M様
(※ 解説内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

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