民法 第101条第3項


(代理行為の瑕疵) ※ 本条解説へ移動する
第101条第3項

 特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。

民法 第一編 第五章 法律行為 条文一覧








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以下、解説です。


【民法101条3項解説】

民法101条3項は、本人が特定の法律行為についてのみ代理人に依頼した場合について定めたものです。このケースでは、代理人と相手方の意思表示の効力について、本人の事情も合わせて考慮されます。
通常の代理の場合は、ある事情を知っていたかなどについて、代理人のみを基準にして意思表示の有効性を判断します。それに対し、特定の法律行為に限定した場合は、代理人がある事情を知らずに行った行為について、本人がその事情を知っていたのであれば「代理人がある事情を知らずに行った法律行為だ」と主張することができないと定められています。「ある事情を過失により知らなかった場合」も同様です。

簡単に表現すると、悪意を持って法律行為を行おうとする人が、何も知らない代理人を介して法律行為をさせた場合は、本人に悪意があったことを考慮して判断するということです。このルールがないと、悪意を持った人は、善意の代理人を間に立たせることで何でもできてしまいます。民法101条3項は、そのようなケースを想定した規定だと言えるでしょう。

改正前の民法では「本人の指図に従って」という文言があったのですが、「代理人による指図に従っていたことを適用要件とする必要はない」とする判例があり、本人が代理人に指図をしていないケースでもこの判例に従う形で運用されていました。改正後の民法101条3項は、その方針を明確にしたものと言えます。

 

2023年2月12日 ご執筆M様
(※ 解説内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

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