民法 第97条第3項


(意思表示の効力発生時期等) ※ 本条解説へ移動する
第97条第3項

 意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。

民法 第一編 第五章 法律行為 条文一覧








※ ご利用にあたって
当サイトでご提供する全コンテンツのご利用は、当サイト内(オンライン上(https://www.lawdoku.com/から始まるURL上))にのみに限らせていただきます。また、当サイト内のすべてのコンテンツにつきまして、ダウンロードやその他の方法による当サイト外への持ち出しは、理由のいかんを問わず固くお断りいたします。

以下、解説です。


【民法97条3項解説】

民法97条3項は、意思表示をした人がそのときに意思能力を持っていたのであれば、その後に死亡したなどの場合でも意思表示が無効になることはないと定めています。意思能力があるときに表明した意思表示を尊重している規定だと言えるでしょう。

この条文は、改正前の民法97条2項がベースとなっています。2017年の改正で、民法3条の2に「意思能力を有しない者の意思表示が無効である」という主旨の条文が追加されました。民法97条3項はこれを受けて規定されているもので、改正前の条文に、意思表示をした者が「通知を発送した後に意思能力を喪失」した場合も、その意思表示が有効であることを定めました。

ただ、民法97条3項は、申込の意思表示についての例外を定めた民法526条の影響を受けます。民法526条では、「申込の通知をした後に死亡・意思能力喪失・行為能力制限の状態になった場合には、申込を無効とする」と意思表示をしていたときには、その状態になった場合、または相手方が申込みの承諾通知を発するまでにその事実を知った場合、申込の効力が失われると定めています。

例えば、投資用不動産を購入しようとしている人のケースなどで考えてみましょう。投資用不動産を購入しても、収益を上げるためには、適切な管理をする必要があります。そこで、「認知症になったら適切な管理ができないから、行為能力の制限を受けた場合は申込の効力を有しないものとする」と意思表示しておくことができます。
民法97条3項では、意思表示をした後に行為能力の制限を受けたとしても、意思表示は有効となりますが、それに優先して民法526条が適用され、申込の効力は有しないものとされます。

 

2022年8月8日 ご執筆M様
(※ 解説内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA