弁護士コル先生の『ためなる』コラム ~その34~

保釈金の用意


刑事事件を担当していると、被疑者が起訴され被告人になった時に、大概依頼されるのが「保釈請求をしてほしい。」というものです(被疑者⇒被告人、被告の違いについては、別の記事で説明していますので参照してください)。

保釈とは、被告人が起訴された後に、逃亡の恐れがなく、罪証隠滅(=人を含む証拠の隠滅)のおそれがない、と裁判所が判断した場合に認められ、保釈請求⇒保釈許可決定⇒保釈保証金の納付という手続を経ることで被告人の身体拘束を解き、一時的に社会復帰させるものです。

著名人が捕まった場合は、よく保釈の際にテレビ報道され、カメラに向かって頭を下げる姿が映されると思います。
この際、保釈金といって、被告人が裁判に確実に出頭することを担保するために一定の金銭を裁判所に納付する必要があります。
つまり、被告人が逃亡した場合は、この金銭は没収されるすことになるのが「保釈保証金」というものです。
保釈保証金は保釈決定の際に、裁判官が事案の性質、逃亡の可能性等を総合的に考慮して決定することになります(カルロス・ゴーンであれば15億円と報道されていたと思います)。
カルロス・ゴーンのような大金持ちであれば、15億円もたやすく納付できてしまうのでしょうが、国選弁護を依頼されるような方ですと、数百万円をいきなり用意するのは困難な場合が少なくありません。

私も先日担当した国選弁護事件で、保釈決定はでたものの、保釈保証金200万円の納付が困難、という事例に直面しました。
こういったときに、助けになるのが保釈支援協会です。
これとは別の支援制度として全弁協もあるのですが、こちらの方が審査が通りやすく、一般的な支援の方法と言えます。
この保釈支援協会の審査が通れば、手数料の納付は必要になりますが、保釈保証金を一時的に立て替えてもらうことが可能です。

もっとも、誰でも審査が通るわけではありません。
今回の事案で言えば、婚約者の方に申込人になってもらい、保釈支援協会に申請を行いましたが、当該婚約者の方と被告人の交際期間が短く、婚約者の方がアルバイトであったことから、支援を受けることができませんでした。
被告人のご両親は正社員として会社勤めをされている、とのことでしたが、被告人とご両親の関係が良好とは言えず、結局、保釈決定は出ていたにも関わらず、判決言渡しまで保釈することはできませんでした(=拘置所の中にずっといることになりました)。

保釈決定がせっかく通ったにもかかわらず、保釈できないというのは弁護人としても無念ですし、打合せが拘置所や警察署でしかできないといった現実的な不利益もあります。
もちろん、犯罪を犯さないことが一番いいのですが、保釈協会の支援決定を得られるような家族等との関係も重要と痛感した事件でした

 

2022年6月16日 ご執筆c様
(※ 掲載内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

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