弁護士コル先生の『ためなる』コラム ~その15~

株式を購入する時には注意!種類株式とは


証券会社を通じて株式を購入し、保有している、という方も少なくないでしょう。今回は、株式購入のプロであればあまり実益のない話かもしれませんが、初心者であれば注意しなければならない種類株式についてご説明します。

株主には、会社経営について強い意欲を示す人もいれば、株式の売却益や配当、株主優待など会社経営には興味がなく、株式による経済的利益の獲得を主たる目的とする人もいる等、多種多様な人がマーケットに存在します。
会社法はそれらのニーズに応じる形で内容の異なる2種類以上の株式を発行することを認めており(会社法108条)、これを種類株式と言います。
種類株式を発行している株式会社の場合、種類株式は登記されていますので、念のため確認されるとよいでしょう(証券会社を通じての場合、説明書きはあるとは思いますが…)。

まず、最初に挙げられる種類株式が優先株式等に代表される、剰余金の配当・残余財産の分配に関する種類株式です。
例に挙げた優先株式であれば、他の株式に先んじて配当を受け取ることができることになっています。このように、会社の財産の分配について特別の定めをすることが可能です。

次に、議決権を制限されている株式を発行することもできます。
上記した優先株式等を組み合わせる事で、経営には興味がないが、配当などの利益を得たい株主向けに用意される事が多いといえます。

規模の大きくない会社で用意されることが多いのが譲渡制限株式です。上場していれば基本的には自由に株式を売買することが可能ですが、一部の株式については譲渡制限がついていることもあるので注意してください(この場合譲渡承認機関についても確認が必要になります)。

取得請求権付株式や取得条項付株式というものもあります。
取得請求権付株式というのは株主が会社に対して株式を一定の条件で買い取るよう請求することができる株式のことであり、取得条項付株式というのは、反対に、会社が株主に対して一定の条件で株式を取得することを請求できる株式のことです。

また、会社は全部取得条項付株式といって、その種類株式全部について、株主総会決議により会社が取得することができる、という内容の株式を発行することもできます。

上記したように会社ごとにそれぞれのニーズがありますので、経営者側であれば、どのように資金調達を行うのかに際して、どういった種類株式を発行するのか(どういった手続が必要なのか)を確認する必要がありますし、株主側はご自身が持っている株式がどういった種類株式なのか、どういった権利行使ができるのかをしっかりと確認する必要があります(これは上場株式・非上場株式どちらにおいても変わるところはありません)。

 

2021年8月24日 ご執筆c様
(※ 掲載内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

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