『ためなる』コラムその36:相続放棄の注意点

相続放棄の注意点


被相続人が亡くなると、相続が発生するのはイメージしやすいかと思います。
基本的には相続財産の把握⇒遺産分割協議という流れで相続人間で協議していくのが一般的ではありますが、相続財産(要はプラスの財産)よりも負債(要はマイナスの財産)が多い場合には、相続放棄を行うという選択肢が出てきます。

相続放棄というのは、簡単にいえば、裁判所に対して相続放棄の申述(申立)を行い、裁判所がこれを認めることで、被相続人の財産も債務も一切相続しないことにする手続です。ただし、相続財産だけ相続する、という都合の良いことはできません。

上記したように、相続放棄は相続人が一方的に「相続放棄します!」と述べるだけではだめです。裁判所に対して申述を行い、裁判所にこの申述を受理してもらうことで成立します。

例えば、被相続人に対してお金を貸していた債権者の立場からすれば、簡単に相続放棄されたらたまったものではないことは容易に想像ができるのではないでしょうか。そのため、裁判所を通じた手続が必要とされているのです。

この手続そのものは難しいものではなく、裁判所のHPから書式をダウンロードして、記載例通りに記入することでことは足ります。無理に弁護士に弁護士費用を払ってまで依頼する必要はない手続と考えておいても問題はないと思います。

一点、注意しなければならないのは、相続放棄は上記したように、特に被相続人の債権者にとっては、相続人に対してその債権の回収を図ることができなくなる、という大きな影響を及ぼす手続であることから、相続放棄の期間制限(熟慮期間といわれます)が定められていることです。

具体的には、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3カ月とされています(民法915条1項本文)。
「自己のために相続の開始があった」とは、分かりやすいのは親が死んだのを知った時、ということになります。
もっとも、両親と疎遠だったため死亡の事実を知らなかった、といった場合にはこのタイミングがずれることになります。
うっかり3か月を経過してしまうと、大変なことになりかねません。

手続し忘れており、あと少ししか時間がない、あるいは過ぎている!というときには弁護士に相談してください。

相続放棄について、相続放棄の熟慮期間が経過してしまったことについて理由付けができれば、裁判所がこの期間の延長を認めてくれる場合があります。
そのための書面はやはり弁護士に任せた方が無難です。
例えば、相続財産の調査(プラスもマイナスも含め)に時間がかかったことなどが分かりやすい例と言えますが、このあたりの表現であるとか裁判所とのやり取りは弁護士の方が無難です。

熟慮期間が迫っている、過ぎてしまったような場合にも諦めずに一度弁護士に相談してみるのがよいでしょう

 

2022年7月15日 ご執筆c様
(※ 掲載内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

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