弁護士コル先生の『ためなる』コラム ~その5~

法律事務所の選び方


法科大学院制度が始まってから弁護士の数は大きく増加しています。
そのため、特に東京・大阪等の大都市圏においては、法律事務所が乱立している、という状況が散見されます。
地方では刑事事件の国選弁護の仕事が月に数回巡ってきたりしますが、東京では半年に1回程度と中々回ってきません。被告人国選事件では法テラスに行列ができている有様です。

そのような法律事務所が数多くある中で今回はこういった法律事務所を選んではだめ!というポイントを一つ、お伝えしたいと思います。

それは、最初に電話をした際に、事務員(弁護士ではない)が細かく事情を聴いてくるような事務所です。
上記の傾向から、大手でかつ、広告を積極的に打っている法律事務所に多い傾向なのですが、とにかく受任して着手金を依頼者から取ろうとする事務所が少なくありません。
そうすると、(宣伝広告費も大きな金額になることも容易に想像できますが・・・)弁護士が全て対応していると、弁護士の数が足りない、という事態に陥りがちになるのです。そういう事務所にある傾向が、弁護士が電話で聴取などをせず、事務員が事情を聴いて見積もりなどを提示する法律事務所になります。

本来、弁護士法によって、法律事務(もちろん、法律相談はこれに該当します。)は、弁護士の専権事項であり、事務員が担当すると、本来は非弁行為として弁護士法違反となります。そのため、あくまで事情聴取のみを事務員が行う、というグレーゾーンの行為が一部の法律事務所で行われているようです。

私が、こういった法律事務所をお勧めしないのは、いざご依頼された時にも中々弁護士につながらない、といったクレームを耳にしたことがあるからです。
上記のとおり、こういった法律事務所はできるだけコストをかけずに、多くの事件に対応する必要があります。そのため、弁護士一人当たりが抱えている案件が多く、中々取り次いでもらえない、といった事態があるようです(そもそも面談も実施できないという話もあるようです。それはさすがに論外だと思いますが。)。
弁護士に取り次いでもらえなければ、事務員に説明することになりますが、それでは正確に弁護士に伝わるかはわかりませんし、訴訟等では戦略も共有できません。
それで万が一敗訴したりすれば、ご納得もいかないことになります。
控訴審等で他の法律事務所を探しても1から事情を説明することになり、結果的に最初から「この法律事務所に依頼しておけばよかった・・・。」等と言うことになりかねません。
ネット上の口コミなどで事務員が対応する、話を聞くといった事務所は個人的には要注意ではないかと思います。

 

2021年3月31日 ご執筆c様
(※ 掲載内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

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2 thoughts on “弁護士コル先生の『ためなる』コラム ~その5~

  1. 鈴木 より:

    電車の広告を始め、最近は法律事務所の宣伝を色々な所で見かけるようになりました。

    選択肢が広くなった事は良いのですが、その分粗悪なサービスを展開する事務所に当たる可能性も高くなっているはずです。

    このコラムで書かれているポイントは非常に納得感があり、かつ簡単に実施出来る対処法だと思います。

    決して安くは無い費用ですから、このようなアドバイスは非常に助かります。

    1. yafuoo より:

      鈴木様、いつもコメントありがとうございます。
      ネットの広告でも、法律事務所の広告を見かけたりしますよね。
      公告を見ていると、サブスクリプションのようなサービスもあるようで、法律相談というものが非常に身近に感じられるようになりました。
      ただ、接する機会はやはりそこまで多くない方が多いと思うので、お願いするに至るまでには様々な不安があり、敷居は高いですよね。
      お金はいくらくらいかかるのか、どの程度相談者の気持ちを汲んでくれるか、そして何より問題は解決するのか…
      あくまで個人的な意見ではありますが、やはり信頼できる方からの紹介が一番安心したりします。
      そういったコネが無いのであれば、このコラムを参考にされながら相談先を決めるとよさそうですね。

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