『ためなる』コラムその89:松本人志氏の裁判のモヤモヤ

松本人志氏の裁判のモヤモヤ


先日、以前取り上げた松本人志氏の訴訟が松本人志氏側の訴えの取下げにより終了した、とのニュースが流れました。

恐らくは、訴訟の外で何らかの和解が松本氏側と週刊文春側で締結されたのだと思いますが、その内容についてはこれも恐らくですが口外禁止条項が定められているでしょうから具体的にうかがい知ることはできないものになると思われます。

そのため、この裁判がどういった決着になったかは実際のところは分からず、真相も闇に包まれてしまった、ということになります。ここに、この事件のモヤモヤの正体があります。

一般論としては、『和解の成立』ではなく『訴訟の取下げ』なので、松本氏側には不利な内容での和解が成立したと考えられます。

以前、森友学園訴訟の件で、請求の認諾についてご説明しました。
訴えの取下げはこれと真逆で、基本的には原告側が請求をあきらめた時(難しいと考えた時)行います(つまり、通常は原告側には何らの利益もありません)。

今回、訴訟内での和解ではなく、訴外で和解し、訴えを取り下げていることが弁護士としては「?」なわけです。また、訴えの取下げは訴訟が始まって以降(厳密には、被告から(今回で言えば文春から)の答弁書が提出された後)だと、被告の同意も必要になります。

これらの事情からすると、被告側にもそれなりにメリットがなければ、訴えの取下げには同意しないはずなのです。文春側は取材に自信がある、証拠もあるといった趣旨のコメントを続けてきましたので、それなりのメリットが文春・女性側になければ取下げに同意せず、松本氏の請求の棄却を目指すはずです。

これらの事情からすると、何らかの事情(松本氏側に不利な証拠が存在したか、一部報道にあるように第三者を巻き込むことが危惧されたか)といった事情により、松本氏側が和解を望んだのではないか、その上で、被告側(女性側)から許せるギリギリの文言が、松本氏側が発表した、客観的証拠がない(性行為そのものの有無や同意の有無について被告側の認識には踏み込まない形)という文言になったのではないか、そして、被告側のメリットとして、一定の金銭の支払いがなされたのではないか…と推測できるわけです。

もちろん、真実は外部からは分かりません。今後、明らかになることもないと思います(それ自体もやもやの原因ではあるのですが、致し方ないとは思います)。

この記事も、報道ベースで一人の弁護士が本件について考察・推察を加えているだけですが、やはり、この件は最初から最後までモヤモヤした訴訟だったなぁ…という感覚が残ります。あくまで個人としては、松本氏が以前のようなテレビ復帰を目指すのであれば、完全勝訴判決を得るしかなかったと思うのですが、そうはいかない何かしらの事情が存在したのでしょうね…

 

2024年12月1日 ご執筆c様
(※ 掲載内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

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