日本国憲法 第9条第2項


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 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

日本国憲法 第二章 戦争の放棄 条文一覧
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以下、解説です。


【日本国憲法9条2項解説】

憲法9条2項では、1項の戦争放棄を受けたうえで、「戦力の不保持」と「交戦権の否認」について定めています。

戦力の不保持については、1項において日本が自衛権を否定しているわけではないことから、政府は「自衛のための必要最小限度の実力」を持つことは可能だとしています。砂川事件判決(昭和34年最高裁)でも、「日本国憲法では25条で生存権を定めており、他国からの攻撃を受けて生存権が脅かされる危険があるのであれば、国民の生存権を守るための自衛権の行使として、防衛のための武力行使を阻止する措置を採り得ることは当然」として、憲法は自衛権を禁止していないと解釈しています。
自衛隊が合憲だとしても、自衛隊の持つ力が「必要最小限度の実力」にとどまっているかは議論の余地があります。とはいえ、世界の情勢によってその基準が変わると考えることもできるため、非常に難しい問題です。

では、自衛隊が戦力でないとした場合、次に問題になるのが、米軍基地です。日本は、日米安全保障条約に基づいて、国内に米軍の駐留を認めています。これは戦力の不保持に抵触するのでしょうか。
砂川事件の判決では、自衛権は国家固有の権利であり日本に自衛権があることも当然であるとしたうえで、国際連合の安全保障理事会によって我が国の安全と生存が保障されるのが理想的だが、適切・有効に発揮し得ない状況であることが明らかなので、特定の国と集団安全保障に関する取り決めを締結して、防衛に関する援助を受けることは自衛権の範囲内にあるもので平和主義に反するものではないとしています。また、外国軍隊は、日本が主体となって指揮権・管理権を行使することができないため、日本に駐留していても「日本の戦力には該当しない」と述べています。
つまり、日本の平和と安全を維持するためにふさわしい方式・手段である限り、国際情勢の実情から適当な範囲で、他国に安全保障を求めることは禁じられていないという考え方です。

交戦権については、「戦争を行う権利」とする説や「主権国家として戦時国際法上の権利」とする説があります。自衛権や自衛隊に関する議論と同様、議論の余地はありますが、交戦権を「戦争を行う権利」と解釈すれば、自衛権や自衛隊が許容されるとしても、そもそも戦えないため意味がありません。そのため、当然に政府の見解は「主権国家として戦時国際法上の権利」が交戦権となるのであり、防衛のための必要最小限度の武力行使は交戦権の行使とは別のものということになります。

 

2024年6月6日 ご執筆M様
(※ 解説内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

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