『ためなる』コラムその79:裁判所からの書類には注意~無視してはいけない場合とは~

裁判所からの書類には注意~無視してはいけない場合とは~


先日、私の携帯電話に知らない番号からの電話の着信がありました。
とりあえず出てみると、自動音声で…「NTTです。携帯料金の未納があります。つきましては、法的措置に移行します。オペレーターと話をする場合は1を押してください」といったガイダンスが流れました。

以前、別の記事でもご紹介したように、これは明らかに架空請求です。
「弁護士相手によくやるわ…」
と思いつつ、オペレーターにつないでもらって久保田先生のように、論破してやろうかな…とも思ったのですが、時間と労力の無駄なのでやめて、電話を切りました(笑)。

さて、こういった架空請求は当然無視していいのですが、無視してはいけないのが本当の法的措置をとられた場合です。

通常の弁護士であれば、①内容証明郵便の送付、②訴状の提出、のどちらかを採るはずです(仮処分などの保全は別ですが)。
そして①については無視したとしても、次のステップに進むだけなので、いきなり不利益に取扱われることはありません(訴訟になった時に何故交渉しなかったのか?といった質問を裁判官からされる可能性はありますが)。

②の訴状については特別送達といって、本人又は同居している人がサイン(判子)して受け取るものです。
そして、通常その中には、訴状と証拠、そして裁判所からの書面の提出期限や、答弁書のひな型、実際の訴訟の期日や場所など訴訟に関する案内が一通り入っています。

この案内を無視することは非常に危険です。
弁護士が依頼者から委任を受け、これを忘れる等してスルーしてしまうと一発で懲戒事由になる位のレベルです。

なぜなら、書面の提出期限までに(遅くとも訴訟期日までに)答弁書を提出せず、かつ指定された期日に出頭(出席)しないと、原告の言い分が全て認められる判決が出てしまうのです。いわゆる欠席判決というものになります。

もっとも、第1回期日や書面の提出期限は被告側の事情を全く考慮せずに設定されています。
そのため、この期日までに実質的な反論(訴訟上では答弁といいます)を行う必要はなく、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする」という簡単な答弁書を出しておけば、第1回期日についても欠席しても問題はないのです。

そのため、裁判所から訴状が届いた場合は、弁護士を使う・使わないにかかわらず、少なくともこの簡単な答弁書を提出しておく必要があります。

これをすっぽかすと、原告の請求通りの判決が出てしまい、仮執行宣言が付いていれば差押えをされることもあり得ますし、いくら控訴して高等裁判所で審理してもらえるとはいっても、一審で敗訴判決が出ているという事実は影響を及ぼします。

裁判所からの資料は必ず目を通し、もし、偽物か不安になったら弁護士に一度相談されることをお勧めします。

 

2024年6月6日 ご執筆c様
(※ 掲載内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

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