弁護士コル先生の『ためなる』コラム ~その17~

テレワークの難しさ


コロナ禍の影響で「テレワークによる出勤7割減」が提唱されて既に1年以上が経っています。
もちろん、コロナ対策としてテレワークが重要である(弁護士はその職務の性質上、中々テレワークというわけにはいかず、裁判所に出頭したりしていますが・・・笑)というのは確かなのでしょうが、一方、テレワークの実施のやり方については、企業側、労働者側双方に色々と考えなければならないことがあります。

まず、確認しておくべきことは、テレワークは労働者の権利ではない、ということです。世の中がこれだけテレワークを推奨していますので、あたかもテレワーク出来るのは当然、実施させない企業は悪、といったイメージに陥りがちですが、基本的には就業場所は雇用契約書や就業規則などで、一定の場所に定められており、一般的には「会社は就業場所の変更を命じることがある」といった規定が付されており、あくまで就業場所は雇用契約上、企業側が自由に決められるのが大前提です。

そのため、「コロナが怖いから出勤しません。」と述べて労働者が自主的にテレワークを実施したとしても、無断欠勤になる可能性が高く、その結果、解雇されたとしても解雇権の濫用等と評価されることは少ないでしょう。

また、企業側としては、どういった条件でテレワークを実施するか、実施の際のルールはどうするか、といったことが問題になります。

テレワーク規程等を整備し、テレワーク許可に必要な申請書類、申請事由等を定めておかないと従業員間で格差が生じてしまい、トラブルになりかねません。
また、実際にテレワークを実施する際の従業員の管理も大きな問題です。

出勤していれば、さぼっていないか、といったことは直接上司が確認できますが、テレワークの場合、そうはいきません。また、過度に上司が部下に連絡を取ったり、「監視しているぞ」等と連絡するとパワーハラスメントと評価されかねません。

そこで、例えば会社からの貸与PCの使用を義務付け、必要に応じてアクセス履歴やログイン履歴、場合によっては企業から貸与した携帯電話のGPSを企業側で確認できるようにしておいたり、上司からの連絡には基本的に出る(ZOOM等の呼び出しに応じる)ことを義務付けたりしておくことで、ある程度は適切な管理ができるようになります。

このように従業員の管理についての規程も同時に定めておく必要があります。
こういった規程をしっかりと整備することにより、従業員に不測の不満を生じさせず、企業側からも過度な干渉がなされない環境を整備しておくことがテレワークを実施するにあたり、双方が気分よく仕事ができる、ということにつながると思います。

企業としては規程の整備を、従業員としては規程の確認を、しっかりと行っておきましょう。

 

2021年9月27日 ご執筆c様
(※ 掲載内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

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