『ためなる』コラムその20:交通事故の過失割合の決まり方

交通事故の過失割合の決まり方


弁護士として仕事をしていると必ずといっていいほど担当することになるのが交通事故です。
おそらく海外との案件やM&Aにおけるデュー・デリジェンスを専門とする大手渉外事務所等で弁護士人生を終えない限り、避けては通れない事件といえます。

交通事故の特に被害者の方は、「相手が悪い。」というお気持ちを当たり前のことではありますがお持ちです。
もっとも、その言い分が裁判を見据えたときに必ずしも通るかというとそうではありません。
いわゆる「過失割合」の問題が出てくるからです。
わかりやすく、加害者がセンターラインを越えて走行してきて正面衝突した、といった場合であれば100:0で加害者が悪いといえるでしょう。
ところが、交差点内での事故のように、赤信号や侵入のタイミングなどにより、どちらがどれほど悪い、というのがはっきりしない場合が多々あります。
動いているもの同士が衝突して交通事故に至るわけですので、当たり前といえば当たり前ですが。

その場合、どちらがどれほど悪いのかをどのように決めるのか、が当然問題になります。
ここで登場するのが「別冊判例タイムズ 38」という1冊の本です。
弁護士のみならず裁判官も参照している本で、事故の態様ごとに、今までの判例から考えられる当事者の過失割合が書かれています。ここに書かれている過失割合が交通事故の基本的な過失割合になる、ということは覚えておいて損はないでしょう。
裁判官も参照する本になりますので、弁護士としてはこの本を参照しながら、判決まで行く場合どういった過失割合になり(もちろん、損害がどの程度認定されるかは全くの別問題ですが)、最終的に依頼者が得られる(支払わなくてはならない)お金がどの程度なのかを判断し、説明することになります。

もちろん、ありとあらゆるケースが書かれているわけではないですし、事案ごとの特殊性は当然ながら存在しますので、あくまで参考、ということにはなりますが。

上記したように、特にけがを負われた方(被害者の方といっても差支えはないでしょう。)は感情的に自らの過失があるわけがない、というお考えをお持ちになる方が多いです。
事故の態様によっては、もちろん、100:0で判断される、ということもあり得ないではないですが、動いているもの同士の場合、例え歩行者と自動車の事故であったとしても、100:0となる可能性はあまり高くありません。

もちろん、一般の方に上記した本をご購入ください、という話ではありませんが、交通事故の一般論として100:0となる可能性は低いこと、上記の本を参考に実務上の過失割合が決定されることが多いことは知っておいて損はないと思います。

 

2021年11月22日 ご執筆c様
(※ 掲載内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

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