不倫の慰謝料の請求に際して
~証拠をしっかりと準備しましょう~
週刊誌などではよく芸能人の不倫などがスクープされ、ニュースとなります。不倫について法的に構成すれば、不貞行為といい、民法709条の不法行為を構成します。
不倫をした側は、共同不法行為(民法719条)となり、二人(不倫相手が複数いる場合はそれ以上)で連帯して請求する側に対して慰謝料を支払う義務が生じます。
慰謝料の一般的な相場としては、当該不倫が原因で離婚したような場合は200万円程度、そうでない場合は100万円程度、といったところです(もちろん、子供の有無、年齢、不倫の期間、回数等事情によりますので、あくまで一般論として理解してください)。
そして、慰謝料を請求する際に気を付けなければいけないのは、あくまで不貞があったこと(=性交渉がなされたこと)、つまりは不法行為が成立することの立証は請求する側(訴訟で言えば原告)にある、ということです。
不貞した側が不貞の事実を争わなければよいのですが、そうでない場合(=性交渉の事実を認めない場合)が問題です。
基本的に不貞行為が存在したこと直接証拠(=例えば性交渉中の写真といった、不貞の事実を直接裏付ける証拠)は存在しません。
そのため、不貞の事実を間接的に推認する事実(=間接事実)を積み重ねることによって、不貞の事実を請求する側が証明しなければならない、ということになります。
間接証拠には色々とありますが、分かりやすいのはそれこそ、週刊誌がスクープするような、ホテルの中に入っていく写真といったものが挙げられます。
逆に言えば、電話やLINEを頻繁にしている、といった程度では足りない、と判断される可能性が高いといえます。
訴訟まで行くと、LINEやfacebookのやり取りや写真が証拠として提出されることも少なからずあり、そういった場合には二人で旅行へ行っていたことや、直接的に性行為を行ったことの表現が見受けられる場合が多いといえます。
こういったものを獲得する必要があるので、不倫をした側に請求を突き付ける前にまずは証拠集めを行うことが重要です(突きつけると、証拠を消されてしまう可能性があります)。また、探偵などに依頼し、証拠写真を入手することももちろん有用ですが、探偵に依頼するには高額な費用が掛かる上、上記のとおり、日本における不貞行為の慰謝料の相場は決して高くはありません。
不貞した側がその事実を認めているかいないかを判断した上で、まずはご自身の力で証拠を掴むことができるかどうかをしっかりと確認しましょう。
手持ちの証拠で十分かどうか判断がつかない場合には一度弁護士に相談されることをお勧めします。
2021年7月8日 ご執筆c様
(※ 掲載内容は、執筆当時の情報をもとにしております)
ワイドショーや週刊誌のネタとして頻繁に取り上げられる不倫問題。
一般的な慰謝料相場については、何となくイメージがつくものでしたが、立証については相当ハードルが高いなという印象を受けました。
相手方の不貞行為がほぼ確実であるという状況であっても、立証には長期間証拠集めを積み重ねていかなければならない心労は耐え難いものでしょうね…。
こういう場合も一人で抱え込まず、コラムに書かれているように弁護士へ相談するのも重要ですね。