『ためなる』コラムその73:通訳事件はややこしい

通訳事件はややこしい


先日、ご相談にいらっしゃった方が外国人でありながら、日本で会社を経営されている方でした。
しかもご相談内容というのが、既に商標権侵害で、(原告の代表者も外国人でしたが)既に地方裁判所に提訴されている…というものでした。

こうなると、厄介なのは、そもそも契約書等が全て外国語(今回の場合は英語でした)であり、かつ、本人とのやり取りにも必要に応じて通訳を入れないと十分な意思疎通ができない、という点になります。この手間暇を考えると、通常よりも高額な見積もりを提示せざるを得ません。
(もっとも、外国では基本的に弁護士費用はタイムチャージなので、弁護士費用については、ある程度高額に設定したとしても、喜ばれることは多いですが…)

今回の場合、そもそも、提訴されていて、答弁書の提出期限が決まっていること、そもそも商標権侵害の問題であり、事案が複雑であることに加え、要通訳事件となるので、色々と悩ましい事件になると思います。

契約書も翻訳作業が必要なのでかなり難儀です…

しかし、ご紹介であり、かなり困っていることは事実でしたので、弁護士としては受任しなければ…という想いにさせられる事件でもあります。

通訳事件の時の留意事項としては(このコラムを読まれている時点であまり関心がない方も多いかもしれませんが)、外国語の書類を証拠として提出する場合に必ず訳文をつけなければならないことと、尋問の際の通訳が必要なことが挙げられます。

また、依頼者の法感覚が異なる点も注意が必要です。もちろん、日本国内で起きている紛争である以上、日本法で判断がなされます。日本法の特徴や帰結をしっかり説明して、理解いただくことに注意しなければなりません。
結構国によって感覚が違うのでこの点も苦労するポイントです。

これが刑事事件だとすると、さらに厄介で接見にも通訳と予定を合わせていかなければならないのと、通訳費用(+交通費)を法テラス(又は私選弁護の場合には依頼者)に請求する等の手間がさらに増えます。また、刑事事件の場合には、(特に身柄が取られていると)やはり、外国人の方は権利侵害がされているという意識が強く「いつになったら出られるんだ!」ということを強く主張される方が多いです。
「一般の方の接見時間が短い!」という話もよくされますが、それも法律上の制度なので中々、説明に苦慮するところではあります。

今回の件は、まだ受任したばかりなので、今後どのように進むのか、また、外国人事件特有の難しさがどのように出るのかは分かりません。

また、機会があれば、記事にしたいと思います。

 

2024年2月13日 ご執筆c様
(※ 掲載内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

※ ご利用にあたって
当サイトでご提供する全コンテンツのご利用は、当サイト内(オンライン上(https://www.lawdoku.com/から始まるURL上))にのみに限らせていただきます。また、当サイト内のすべてのコンテンツにつきまして、ダウンロードやその他の方法による当サイト外への持ち出しは、理由のいかんを問わず固くお断りいたします。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA