出張で思う、弁護士の選び方
先日、札幌地方裁判所へ出頭するために出張に行ってきました。
別の記事でご紹介した通り、訴訟の場合、事件ごとに管轄というものがあり、全国のどの裁判所にも訴訟を提起できるわけではありません。
新型コロナの功罪というべきか、今まで現地に行くか、電話会議しか採用されていなかった訴訟期日が、チームスというアプリを使用することでウェブ期日が実施されるようになりました。そのため、以前より弁護士の出張の機会というのは減ったとは思います。
しかしながら、例えば第1回期日(第1回目から弁論準備手続きに付して、ウェブ期日を実施してくれる場合もありますが)については、出廷を要求されたり、相手が本人訴訟だったり、相手の弁護士が弁論準備手続に付すことに同意しなかったりする場合はやはり出廷するしかありません。そうすると、交通費の他に日当が発生するのが通常の委任契約の内容かと思います。
今回の場合、札幌の会社が依頼者で、日当や旅費についてももちろん予め委任契約書で決めていました。
また、この依頼者様は顧問先なので、弊所に依頼されるのは自然な流れだったとは思います。
事件の概要としてはマンションの賃借人の方が賃料を長期間にわたって滞納していたため(当方の主張に法律上の根拠があると明らかに言える場合です)、建物明渡請求訴訟を札幌地裁に提起した、というものでした。
先方にも代理人が就いた上で、答弁書が提出(とはいっても、第1回期日に出されるものなので、形式的なものであり、先方の主張は何ら分からない状態ですが…)され、第1回期日ということで私が札幌地裁に行った、というものでした。
私としては、第2回期日以降については、先方にも代理人が就任しているのだから、ごくごく当たり前に、次回期日以降は弁論準備手続に付され、ウェブ期日が実施される(=出張は今回と尋問が実施されるのであればその回のみ)と思っていたのですが、先方の代理人(期日そのものは欠席でしたので、対面したわけではありません)が「傍聴人の関係で次回以降も口頭弁論期日を希望している」とのことで再度出廷せざるを得ない状況に陥ってしまいました。
個人的には「傍聴人の関係」という理由については推測するしかなかったのですが、何かしらの支援団体等が今回の当方依頼者の提訴について、「弱い者いじめだ!」といった形で傍聴席を占拠する等を考えているのではないかと思います(住民訴訟等ではよく見る光景です。また、訴訟の進行そのものには基本的に影響はありません)。
今回の場合、顧問先からの依頼でしたので、事情を説明の上、了解していただきましたが、個人の方のご依頼だったとしたら、中々に依頼者のご負担が増えることになります。
もちろん、紹介等で「この弁護士が良い!」ということであればご負担を承知の上で委任契約を締結していただくということもあり得ますが、ご負担のことを考えると、地元の弁護士を使うというのも一手、ということにはなるのかなぁ、と考えさせられました。
2023年7月20日 ご執筆c様
(※ 掲載内容は、執筆当時の情報をもとにしております)