一体どの裁判所に訴えればいい?管轄とは?
他人とトラブルになり、当事者同士ではどうにもこうにもいかなくなった場合、(家事事件・刑事事件以外では)最終的に行きつくのは裁判所です。
弁護士をつける場合は、その法律事務所に任せればいい、ということになりますが、ご自身で訴訟を提起される場合(訴訟を提起された場合)、どの裁判所に提訴すればいいのか(訴えられた裁判所で応じてしまっていいのか)悩まれることもあるのではないでしょうか。
まず、訴額(訴える金額・訴えられる金額)によって、地方裁判所なのか簡易裁判所なのかが変わってきます。
金額が140万円以下の場合(利息や遅延損害金は除きます。)は簡易裁判所、140万1円以上の場合は地方裁判所です。
次に、どういった請求がなされているかによって、どの都道府県(支部・簡易裁判所の場合もあります)の裁判所に提起すべきかが変わってきます。
基本的に金銭の場合は原告の住所地です。交通事故等不法行為を理由とする損害賠償の場合は、その不法行為地で提訴することも可能です。
不動産に関する争いについては、基本的にはその不動産の所在地に管轄があることになります。
本庁が管轄なのか支部なのかは各地方裁判所のホームページで確認することができますので、念のため提訴する前に確認するとよいでしょう。
以上が原則論になりますが、例外もあります。
まずは、契約書等で専属的合意管轄裁判所が定められている場合です。本来であれば、契約を締結する際に気を付けていただきたい条項ではあるのですが、よく契約書に
「本契約に関する一切の紛争については●●地方裁判所を専属的合意管轄裁判所とする。」
といった条項が挿入されています。
特に遠方同士の場合、この条項により、管轄の裁判所が変わってきます。契約の際に、ご自身の住んでいるところから遠方の裁判所となっていないかは注意が必要です(交通費だけで膨大な出費になってしまう可能性があります)。
なお、相手方と訴訟の段階で管轄を合意することも可能です。
また、応訴管轄といって、訴訟を提起された場合に応じてしまうとその裁判所での訴訟に合意したとみなされその裁判所での訴訟を行うことになります。
訴訟は基本的には当事者または代理人が出頭する必要があります。コロナ禍ですので、電話会議やweb会議が認められる場合もありますが、原則は出頭です。
そうすると、裁判所に行くだけの交通費や宿泊費、弁護士に依頼する場合であれば日当なども馬鹿にならない可能性があり、訴額によってはそれだけで費用倒れになりかねません。
これらの事情には十分注意の上、訴訟の提起、あるいは応訴する必要があります。
2021年8月13日 ご執筆c様
(※ 掲載内容は、執筆当時の情報をもとにしております)