弁護士コル先生の『ためなる』コラム ~その19~

従業員が逮捕された!すぐクビにできる?


当番弁護士として警察署に出動する時(当番弁護士・国選弁護人・私選弁護人の違いなどはまた別の機会にご説明しようと思います)、我々弁護士としては被疑者の勤務先はその有無も含めて確認し、連絡を入れるかも確認します。
連絡を入れなければ、無断欠勤となり、会社を解雇されるリスクがあるためです。しかし、多くの被疑者は、早期の釈放に希望を託して、会社には言わないでほしい、ということが多いです。

被疑者の了解を取って会社に伝えたとして、あるいは報道で被疑者名が出てしまい、会社が知ったとして、会社は当該被疑者を解雇することがすぐにできるのか、という問題があります。
結論から言えば、逮捕→即解雇、というわけにはいかない、ということになると思います。
ただし、上記のように、被疑者が会社への伝達を嫌い、その結果として、会社に対して無断欠勤が続く状態(逮捕→勾留されれば多くの場合13日)が続いたために解雇することは容易です。

多くの企業の場合、就業規則の解雇事由、あるいは懲戒解雇事由には刑事事件の被疑者として逮捕された場合、といった文言が挿入されています。
この文言だけを解釈すれば、解雇できるのは当然、という判断になると思います。
ところが、これはあくまで就業中の規則、というところに注意が必要です。
つまり、仕事中に例えば会社のお金を横領したという被疑事実であれば、この規則にばっちり当てはまることになります。
ところが休日に万引きして逮捕された、という話だとあくまでプライベートの話なので本当に解雇できるのか、という問題が生じます。

ここで即時に解雇、としてしまうと会社側には様々なリスクが生じます。
例えば被疑者が無罪主張をしていて、実際に判決で無罪になった場合が典型例です。その場合、そもそも逮捕自体が誤り、ということになり被疑者には何の落ち度もなかったのですから、解雇する理由がなかった、ということになり、解雇が無効になるリスクが非常に高いです。
仮に有罪判決だったとして、解雇してしまったとすると、上記したように、本当に解雇事由があったのか、という形で争われるリスクが生じます。この場合、業務や他の従業員への影響、会社名が報道されてしまった際の会社へのダメージ等も考慮されますので、必ずしも解雇無効とはなりませんが、リスクはそれなりにあると考えた方が良いでしょう。

実際問題として逮捕された従業員が会社に戻れるか・・・というのは雰囲気等の問題もあるので難しい場合は少なくないです。
もっとも、このときは、退職勧奨を行い、退職の合意を労働者からも取っておくという形が会社としてはベターな対応、ということになるでしょう。

 

2021年10月26日 ご執筆c様
(※ 掲載内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

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