『ためなる』コラムその70:弁護士が横領!?~問題になった預り金口座とは~

弁護士が横領!?~問題になった預り金口座とは~


昨日、以下のようなニュースが流れました。
熊本地検「過去に類を見ない多額の着服で悪質」業務上横領の罪 元弁護士に懲役10年を求刑【熊本】(TKUテレビ熊本) – Yahoo!ニュース

先日は、いわゆるルフィ事件(強盗事件)の被疑者接見の際に、弁護士が携帯電話でビデオ通話させたということも問題になり、弁護士のモラルが問われているな…と思います。
もちろん、大多数の弁護士はこのようなことは行いません(当たり前ですが…)。

また、弁護士が問題行動を起こした場合、弁護士会による懲戒処分もなされており、もし、依頼されている弁護士の行動に何か疑問を持たれたような場合には、懲戒処分をまとめているサイトもあるようですので、これを確認していただいても良いかもしれません。

さて、今回の業務上横領事件では、弁護士が預り金口座に預かった解決金等を主に競馬に費消したことが罪に問われているようです。

預り金口座というのは、一般の方にはなじみのない言葉ではないかと思います。実際のところ、私も司法試験受験時代には知らなかった単語で、司法試験合格後に弁護修習(司法試験合格後に、実際の法律事務所で一定期間、研修をさせてもらう制度のことです)で初めて知った単語です。

もっとも、弁護士はほぼ100%の確率で預り金口座というものを持っています。
これは何か、というと依頼者の方から訴訟にかかる実費(印紙代や郵券(切手)代)を一時的に弁護士が預かる(依頼者から預かって印紙等を買って、裁判所に印紙を貼って提出する)
時に使用したり、事件が終了したときに、解決金等を相手方から一時的に預り、その上で弁護士報酬や、解決までにかかった実費等を精算して依頼者に送金するために使用する口座です。あくまで依頼者のお金を一時的に預かるので「預り金口座」という名前がついています。
こうすることで、弁護士の報酬と依頼者から預かっているに過ぎないお金を混同することを避けるのです。

今回の事件については、預かっている依頼者のお金を競馬に使い込んだ、ということになるので、業務上横領罪に該当することは明らかであり、あってはならない事件だった、ということになります。

繰り返しになりますが、弁護士が預り金口座に入っているお金について、精算や実費の支払を除き手を付けることは許されません。

こういった事件が起きてしまい、弁護士への社会的な信用が下がることは非常に残念です。一方で、依頼者の方においては、例えば事件が終了しているはずなのに、お金が支払われない等少し異変を感じた場合にはすぐに弁護士に問い合わせてみていただければ…という注意喚起にもなる事件だったのかなと思いました

 

2023年12月22日 ご執筆c様
(※ 掲載内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

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