弁護士コル先生の『ためなる』コラム ~その16~

相手方からの書類ってどのように届く?~架空請求にはご注意を~


弁護士YouTuberにベリーベスト法律事務所の久保田康介先生という先生がいます。(kubota – YouTube
この先生の動画ではよく架空請求と思われる連絡に対し、実際に久保田先生が電話をして、相手方の主張の矛盾点を付く、という流れで動画が作成されていることが多いのですが、いきなりショートメッセージや迷惑メールが来て、「このままだと訴訟になる。」というような書き方で電話へ誘導するメール等は少なくない、ということでしょう。

今回は、誰かから何かを請求されるときの一般的な手順をご説明します(あくまで話し合いが決裂した場合です)。

①内容証明郵便(または書留郵便など)が届く
代理人を付けなかった場合、必ずしもこのステップが踏まれるわけではないですが、多くの場合、本気で請求しようとするなら、内容証明郵便で具体的な請求内容が届きます。そうすることで、請求する側からすれば、いつ請求したかが明確に記録に残ることになりますし、交渉をしようとした態度も明確にすることができます。請求する側からすれば交渉で終われば早く解決できますし、訴訟の際の費用(弁護士費用等)もカットできるので、コストパフォーマンスがいい、ということになります。さらに言えば、次のステップで提訴する際にも裁判所に「交渉しようとしたのに被告に無視された」といった説明が可能になります。
もちろん、知り合いからこのままだと裁判になるよ?ということでメール等で連絡が来ることはあるでしょうが、知らない番号から「このままだと訴訟になりますので連絡ください。」等と言うことはあり得ません。こういった連絡はほぼ架空請求ということになります。

②訴状(特別送達郵便)が届く
いざ、原告が提訴すると訴状と証拠が特別送達郵便という形で裁判所から届きます。民事訴訟法上、被告に訴状を送達(簡単に言えば被告が訴状を受け取っている状態)できないと、判決を出すことができません。
そのため「訴状をお預かりしているので早急に連絡を。」等と言う連絡を裁判所だったり、第三者機関だったりが被告に対して連絡してくることはあり得ません。訴えられた場合は訴状が届くはず、という大原則は肝に銘じておきましょう。
なお、そもそも相手方(裁判所や検察、弁護士会等…いかにも解決してくれそうな機関)の電話番号が固定電話でない時点で架空請求であることを疑うべきです。さらに言えば、「今なら●●円で穏便に解決できます」等といってきたときに(そもそも公の機関がお金を預かるということはあり得ないのですが)個人口座を指定してくることも怪しいと感じてください。
久保田先生の動画も参考にしつつ、怪しいと思ったら警察等にご相談してみてくださいね

 

2021年9月10日 ご執筆c様
(※ 掲載内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

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