面会交流はできるだけ合意で
以前、本コラムで『離婚の際に最低限決めておくべきこと』を整理した記事を書かせていただきました。
その中で面会交流についても定めるべき事項である旨も記載しました。
この記事では、面会交流の調停の難しさをわかっていただければと思います。
私の依頼者(父親)は、母親と離婚の際に面会交流について具体的条件として「月2回、それとは別に年2回の旅行」という条件を定めていました。
しかし、母親が別の男性と婚約することになったという理由でその条件を反故にしている…というのが相談内容でした。
私が代理人となり母親と交渉しましたが、埒があきませんでした。
この時、既に面会交流について、父親と母親が面会交流についてもめにもめており、信頼関係が崩壊しているのが今回の大きな問題でした。
そこで家庭裁判所に調停を申立て、裁判所に間に入ってもらい、何とか合意ができないか、という道を探ることにしました。
調停では母親にも代理人が就き、こちらとしては従前の条件から後退した条件を出して、合意してもらえないかを探ったのですが、母親側は、子供が実際に生活する母親側の生活環境の変化からして、月1回程度の面会のみ、という条件が子供の福祉に適う、として条件を譲りません。
調停はあくまで話合いによる合意を目指す場ですので、かなりの期間調停での協議を重ねましたが、最終的に合意に至ることはできませんでした。
この場合、行きつくところは家庭裁判所における審判です。
審判ではちょうど双方の主張の中間点のような内容の審判が出されました。
弁護士としてはここで仕事は終了なのですが(即時抗告等を行うのであれば話は別ですが)、実際に審判内容に沿った面会交流は実施できていないようです。
本件に即していえば、現状、審判の内容の面会交流ができていないとして、間接強制(審判内容の面会に代わる金銭の支払い)を求めることも理論上可能ですが、私の依頼者の要求には即していないといえます。
また、面会交流できないからといって、養育費の支払いを止めてしまえば、こちらが訴えられたときに敗ける、という結論になります(養育費と面会交流は理論上全くの別問題です)。
そうすると、審判内容である程度納得いただいたとしても、こちらの依頼者からすると、一体何を得られたんだ、という話になってしまいます。
このように、(お金の支払いについても通ずるところはありますが)特に家事の問題の場合、任意での履行が望ましいし、現実的です。
今回のような問題に発展する前に、できれば弁護士を立てずに、いくら離婚したとはいえ、子供のために話合いを持つことが重要ですし、その中で着地点を見出すのが理想です。
ある意味、こういった問題は弁護士マターにする前に解決されることをお勧めしたい、そんな案件でした。
2022年2月18日 ご執筆c様
(※ 掲載内容は、執筆当時の情報をもとにしております)