『ためなる』コラムその28:公正証書を作成する意味

公正証書を作成する意味


『公正証書』という言葉を聞いたことがある方は少なくないのではないでしょうか(実際にどういうものかは理解していなくても)。

公正証書とは簡単に言えば、契約当事者全員が公証役場で公証人の前でその内容について確認した上で作成する契約書等を指します(遺言等も対象ですので、契約書と言う体裁を必ずしも採っているわけではありません)。

離婚の際の合意書に使われることもあれば、(公正証書遺言といいますが)相続財産の配分方法について明らかにするときに使われることもあります。

公正証書の最大の特徴は、強制執行認諾文言を挿入しておくことで、訴訟手続を経ることなく、強制執行を行うことができる、という点です。もちろん、それ以外にも契約書や遺言としての信用性が通常の契約書や遺言に比べて高くなるので、万が一当事者がその内容や成立を争ったときに、立証が容易になる、という点にも特徴はあります。

強制執行については「債務者は●●について、強制執行に服することを約した」等という文言が挿入されることが一般的です。
ただし、この文言があったとしても強制執行についてどこにどのような財産があるかは債権者側が把握する必要がありますので、ここの問題点は公正証書でも解決されるわけではないことに注意が必要です。

公正証書を作成するには公証役場にとりあえず行けば作成できる、というものではありません。
事前に公証人に対して文言案を送付し、内容を調整した上で、日程調整を行い、最終的に作成することになります。

通常の契約書であれば、弁護士が関与しなくても、双方の意思が確認できる形になっていれば一応問題はない、ということになります。
ところが公正証書に関しては公証人がOKを出さないと作成することができないので、多少の費用を支払ったとしても、弁護士に依頼してたたき台を作成してもらう必要があると思います。

公正証書の作成には、弁護士費用のほかに、公証役場に支払う費用が必要になります。
公証役場の費用に関しては、契約書や遺言の種類、対象となる契約や財産の金額によって変わってくることになりますので、弁護士を通じて聞くか、直接公証役場に問い合わせることをお勧めします。

強制執行が可能になるのでかなり拘束力も強くなりますし、当事者に対する精神的なプレッシャーを与えることが可能なのが公正証書ということになります。
何でもかんでも公正証書にすると公証役場とのやり取りに時間もかかりますし、上述したように費用も発生していまいます。

いざ!というときに弁護士にも相談しながら有効活用されることをお勧めします

 

2022年3月9日 ご執筆c様
(※ 掲載内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

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