松本人志は本当に提訴するのか?その作戦は?攻撃防御方法は?
新年早々、色々なニュースが飛び交いましたが、芸能界ではダウンタウン・松本人志の活動休止が最も大きいトピックではなかったかと思います。
性加害報道と言えば、昨年は故・ジャニー喜多川氏によるものや、ソフトバンク・山川選手によるものが報道されましたが、その締めくくりに松本人志による性加害が週間文春で報道されました。
これに対し、吉本興業は事実無根との反論をした上で法的措置を検討する旨を述べていましたが、松本氏本人が休業した上で裁判に集中することをその理由に挙げていると、こけおどしではなく、本当に提訴するつもりなのではないでしょうか。
そうだとして、松本氏の代理人がどういった作戦を立てるかが注目の的になりそうです。
今回の場合、週刊文春に対して、名誉が棄損されたとして不法行為責任(民法709条)に基づく損害賠償請求を行うということになると思います。
松本氏側がとりうる作戦としては、①そもそも性交渉を行っていない、②性交渉はあったが同意があったのどちらかです。不倫も含め、否定するのであれば①、強制性交ではないという点に争点を絞るのであれば②ということになりますが、果たしてどちらの作戦を松本氏ょうか。本当に提訴するのであれば弁護士としてはここがまず気になる部分です(興味本位なことはお許しください。ゴシップですので…)。
別の記事でも書きました、不法行為に基づく損害賠償請求(不倫による慰謝料請求が典型です)の場合、その立証責任は基本的に原告側に課されています。
そのため、一般的には原告側のハードルが高いのですが、今回の場合、松本氏側はとりあえず、記事が掲載され、●●円の損害(CMや番組降板等による損害)を被った、という主張になるでしょう。
これに対して、週刊文春側は真実相当性を主張することになります。
具体的には、週刊文春で報じた記事の内容が真実であるという証拠をどれだけ提示できるか、ということにかかってくると思います。
これも別の記事でご説明したように、訴訟において、尋問ですべてが決する、ということはほとんどありません。少なくともドラマのように、尋問によって証言が覆り、逆転大勝利…といった劇的な展開は期待できません。
今回の場合、週刊文春側はもちろん、取材した女性たちを尋問することになると思いますが、それ以外に客観的証拠をどれだけ積み上げられるのかが焦点になるのではないでしょうか。
性加害が事実だとすれば、それはもちろん許されることではありません。
ですが、事実認定において性加害が認定できないのであれば週刊文春側はそれなりの責任を負う必要がある、ということになります。
まだ活動休止を表明したばかりで、これから訴訟の準備にかかるのでしょうから、提訴までにはそれなりの時間がかかるとは思いますが、今後を見守っていきたい事件です。
2024年1月10日 ご執筆c様
(※ 掲載内容は、執筆当時の情報をもとにしております)