日本国憲法 第14条第1項


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 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

日本国憲法 第三章 国民の権利及び義務 条文一覧






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以下、解説です。


【日本国憲法14条解説】

憲法14条は「法の下の平等」について定めた条文です。
憲法13条に定める基本的人権の尊重が「各人がそもそも持っている権利」について定めたものであるのに対し、憲法14条の法の下の平等は、他者との関係性において、封建的な身分制度や差別を禁じる内容となっています。

憲法14条に定める「平等」がどのようなものなのか、議論はなされていますが、現在の通説としては次のように考えられています。

①形式的平等
全ての人を均等に取り扱うことを保障するもので、「機会の平等」とも呼ばれます。ただ、実質的な平等を軽視しているわけではなく、その点については、憲法25条に定める社会権の保障でカバーされるものと考えられています。
②相対的平等
個人には年齢・財産・職業などで差があることを前提として、同じ条件の下では一律に扱うこととしています。個別の事情を無視して、全ての人を一律に扱う絶対的平等を求めているのではありません。
あくまで不合理な差別を禁止しているのであり、所得額に応じて所得税の税率を変える累進課税制度などは差別にはあたりません。
③法適用の平等
内閣や司法に対し、法律を執行・適用するにあたって、国民を差別してはならないと要請しています。
④法内容の平等
国会に対し、法律そのものが平等でなければならないと要請しています。

憲法14条の条文には、「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」と差別の原因となるものが列挙されていますが、この解釈について、最高裁判所の判例では次のように記されています。

「同項後段の列挙事由は例示的なものであって、必ずしもそれに限るものではないと解するのが相当である」

つまり、列挙されていない理由であっても、合理的な根拠に基づく区別以外で、国民に差別的な取り扱いをすることは禁止しているのが法の下の平等の考え方であると言えます。

法の下の平等の適用については、間接的に私人間の法律にも効力を及ぼして適用すべきという「間接適用説」が通説となっています。
昭和56年の日産自動車事件の判例で、男女別定年制について争われたことについて、「民法90条の公序良俗違反」として無効と判断する際に、憲法14条の規定が間接適用されました。

憲法14条2項は身分制度を否定するものです。
3項は、栄典を授与することを否定するものではありませんが、それが特権を与えるものではないとしています。また、その栄典は授与された本人にのみ与えられるものであり、世襲されるものではないと定めています。

 

2023年1月25日 ご執筆M様
(※ 解説内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

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