日本国憲法 第19条


第19条 ※ 本条解説へ移動する

 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

日本国憲法 第三章 国民の権利及び義務 条文一覧






※ ご利用にあたって
当サイトでご提供する全コンテンツのご利用は、当サイト内(オンライン上(https://www.lawdoku.com/から始まるURL上))にのみに限らせていただきます。また、当サイト内のすべてのコンテンツにつきまして、ダウンロードやその他の方法による当サイト外への持ち出しは、理由のいかんを問わず固くお断りいたします。

以下、解説です。


【日本国憲法19条解説】

憲法19条は、基本的人権のひとつである自由権の中でも「精神的自由権」の前提となるものと位置付けられています。その精神的自由を、条文では、「思想及び良心の自由」と表現しています。
精神的自由は、身体的自由と並んで民主主義にとって不可欠な要素であり、人間の尊厳を支える条件です。また、精神的自由が保障されていないと存在しえない、憲法20条(信教の自由)、憲法21条(表現の自由)、憲法23条(学問の自由)の基礎となる条文だと言えます。

思想及び良心の自由とは、「何を考えるかは、他者から一切の干渉をされない自由がある」ということです。いかなる考えも、内心にとどまる限りは絶対的に自由が保障されているのです。国家権力がこの自由を侵害してはならないという点については、次のような考え方があるとされています。

①.国家権力が、国民の内心の思想を理由に不利益を課すことはできない
②.国家権力が、特定の思想を禁止することはできない
③.国家権力が、国民がどのような思想を抱いているかを表明するよう強制することはできない

江戸時代の日本では、キリスト教を禁止していた幕府が、キリスト教の信者かどうかを判断するために踏み絵を行っていました。こういった行為は、上記の③に該当するものとして、日本国憲法のもとにおいては禁止されます。

思想及び良心の自由については、過去にいくつもの判例があります。
昭和31年に判決が出された謝罪広告事件では、裁判所が判決で謝罪広告の掲載を命じたことについて、憲法19条の良心の自由を侵害するかが最高裁判所で争われました。これについて、「単に事態の真相を告白し、陳謝の意を表明するにとどまる程度のものであれば、これを強制したとしても、憲法19条に反するものではない」と、合憲の判断をしています。

また、昭和48年に判決が出された三菱樹脂事件は、憲法が公法であり、私人間で適用されることは予定されていないという「間接適用説」が示されたものとして知られています。この事件は、学生運動への参加を隠していたことが発覚し、試用期間満了時に本採用が拒否されたもので、本採用の拒否が思想・良心の自由を侵害するものと訴えたものです。これに対し最高裁判所は、「憲法の規定は…私人相互の関係を直接規律することを予定するものではない」とし、私法の解釈によるべきものと判断しました。

 

2023年5月28日 ご執筆M様
(※ 解説内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA