民法 第101条第1項


(代理行為の瑕疵) ※ 本条解説へ移動する
第101条第1項

 代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。

民法 第一編 第五章 法律行為 条文一覧








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以下、解説です。


【民法101条1項解説】

民法101条は、代理人が相手方に行った意思表示に問題があった場合について定めた条文です。代理行為には、代理人が相手方に意思表示をした場合の「能動代理」と、相手方が代理人に対して意思表示をした場合の「受動代理」に分けられます。この条文は、そのうち「能動代理」のケースについて定めたものと言えます。

意思表示に問題があったかどうかは、次の3つのタイプがあります。
①…意思の欠缺
意思の不存在や錯誤のように、真意と行為が一致していない意思表示
②…瑕疵ある意思表示
詐欺や強迫によってなされた、他人からの干渉による意思表示
③…悪意または善意有過失
ある事情を知っていたにもかかわらず行った意思表示(悪意)、また、注意していれば知ることができたことを知らずに行った意思表示(善意有過失)

こういった事情がある場合は意思表示に問題があるため、その意思表示によって、本人か相手方が不利益を被ってしまうことがあります。

代理人を介さない通常の意思表示であれば、本人が相手方に意思表示を行っているので、本人にその意思があったのかどうかを考えることでトラブルを解決することができます。
一方で、代理人を介した意思表示の場合は、意思表示を行ったのは代理人で、その効力は本人に帰属します。ただ、本人が意思の表示行為をしたわけではないので、代理人の意思表示に問題があったかを本人を基準にして考えることはできません。そこで、民法101条の1項で、代理行為の意思を、代理人を基準にして判断すると定めているのです。

例えば、本人から不動産の売却を依頼された代理人が、詐欺で相手方に売却をしたとしましょう。相手方に過失はなく、錯誤状態に陥って意思表示をしてしまったことになります。
この場合、相手方は保護すべき立場ですが、本人の行為を基準とすると、本人が詐欺を働いたわけではなく保護することができません。詐欺を働いた代理人の行為を基準として判断することで、相手方を保護することができるわけです。

民法101条1項は「能動代理」のケースについて定めたものですが、これ以外に、代理人が意思表示を受けた場合などのケースも想定できます。
「相手方から代理人に対して行われた意思表示(受動代理)」の場合は民法96条と民法101条2項に、「本人が代理人に特定の法律行為を委託した」場合に問題となる可能性がある部分については民法101条3項に定められています。

 

2023年1月11日 ご執筆M様
(※ 解説内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

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