民法 第413条第1項


(受領遅滞) ※ 本条解説へ移動する
第413条第1項

 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その債務の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、履行の提供をした時からその引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その物を保存すれば足りる。

民法 第三編 第一章 総則 条文一覧


























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以下、解説です。


【民法413条1項解説】

受領遅滞は、債務者が弁済の提供をしたにもかかわらず、債権者が受け取りを拒む、もしくは、受け取ることができず、債務の履行が完了しない状態を言います。そのような受領遅滞に陥った場合に、債務者は特定物についてどの程度の注意義務をもって保管すればいいか、ということを定めた規定です。特定物については、民法400条に保管時の注意義務についての規定があるため、受領遅滞時の保管の扱いについて定められました。
そして本項では、弁済の提供をすれば、その時から引き渡しをするまでは、自己の財産に対する注意と同一の注意をもって、その物を保管すれば足りるとしました。

●特定物
目的とされる物の個性に着目して取引がされる場合、当該物は特定物とされます。反対に、物の個性に着目したわけではない取引の目的物は不特定物と言います。
(特定物の例:ある選手のサイン入りの野球ボール)

●履行の提供(弁済の提供)
弁済の提供の方法については、民法493条のとおり、原則として債務の本旨に従い現実にすることになります。弁済の提供をすれば、その時から債務者側の履行遅滞の責任は免れます(民法492条)。

●自己の財産に対するのと同一の注意をもって保存
特定物の引き渡しをするまでは、民法400条のとおり、善良な管理者の注意をもって保管する義務、いわゆる善管注意義務があります。特定物とは、上述のように個性に着目して取引の対象物となった物ですので、紛失や破損してしまっては替わりがききません。そのような物は、特に慎重に保管する必要があるため、引き渡しまでは善良な管理者の注意をもって保存しなければなりませんでした。
しかし、債務者が履行期に履行の提供をしたにもかかわらず、債権者が受け取らない場合や受け取ることができない場合にまで、『債務者は、履行を完了するまで善管注意義務がある』とすると、債務者にとって酷です。したがって、履行の提供をした後は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって保管していれば足りるとして、注意義務のレベルを下げています。
自己の財産に対するのと同一の注意をもって保存するというのは、自分の所有する物であれば、通常有すると思われるべき注意義務です。

 

2021年8月5日 ご執筆U様
(※ 解説内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

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