民法 第415条第1項


(債務不履行による損害賠償) ※ 本条解説へ移動する
第415条第1項

 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

民法 第三編 第一章 総則 条文一覧


























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以下、解説です。


【民法415条1項解説】

債権者が満足するような債務の履行を債務者が行わない場合(債務不履行)に生じた損害を、債務者に対して請求することができるとする規定です。

【債務不履行とは】
●履行遅滞(民法412条1項2項3項)・・・履行期が遅れている場合
●履行不能(民法412条の2第1項2項)・・・履行自体が不可能な場合
●不完全履行・・・履行遅滞と履行不能以外の場合。履行したが債務の本旨に従った履行ではない場合(例えば、りんご100個を目的とする売買契約において、債務者はりんご100個の納品をしたが、その中に腐ったりんごが混ざっていた場合、りんごの売買契約であれば正常なりんごが納品されることが債務の本旨といえるため、腐ったりんごの納品は不完全な履行と言えます)。

【債務不履行の効果】
●損害賠償請求
●解除(民法541条

【債務不履行による損害賠償請求の要件】
●債務者が債務不履行に陥っていること(債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるとき)
●債務不履行により損害が生じたこと
●債務者に帰責性があること

【生じた損害】
●原則として通常生ずべき損害です(民法416条1項)。
(具体例)
・不動産の売買契約で、建物の引き渡しができなくなったことで債権者が転売できず、転売による利益が得られなくなった場合の当該転売益。

●債務者の帰責事由の有無は、契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして決することになります。帰責事由がないと判断される場合は、債務者は損害賠償の責任を負いません。
(具体例)
・不動産の売買契約で、災害により不動産に損害が生じた場合
→債務者の責めに帰することができない事由と言えます。
・自動車の修理の契約において、債務者が修理中に自動車に傷をつけた場合
→債務者は自動車の修理中に傷をつけないことが取引上求められていたので、債務者に帰責事由があると言えます。

 

2021年7月19日 ご執筆U様
(※ 解説内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

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