民法 第533条


(同時履行の抗弁) ※ 本条解説へ移動する
第533条

 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない

民法 第三編 第二章 契約 条文一覧


































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以下、解説です。


【民法533条解説】

同時履行の抗弁権は、双務契約から生じた自己の債務の履行を、相手方が債務の履行をするまで拒絶することができる権利です。一方当事者が先に債務を履行したにもかかわらず、他方当事者が履行しないという不公平な状況を回避するために認められています。

双務契約とは、契約の両当事者が互いに債務を負う契約です。例えば売買契約(民法555条)も、一方当事者が物を提供し、他方当事者が対価を支払うことを約する双務契約です。
贈与契約(民法549条)のような一方当事者のみが債務を負う契約の場合は、同時履行の抗弁権は主張できません。

相手の債務の履行は、債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行(民法415条2項)も含みます。
また、一つの契約から派生的に生じた対立する2つの債務の履行についても、同時に履行することが公平と考えられれば、同時履行の抗弁権は主張できます。例えば、契約の解除に伴う原状回復義務(購入した物の返品と代金の返金)です。

もっとも、同時履行の抗弁権を主張できるのは、相手方が債務の履行を提供していない場合になります。提供とは、実際に債務を履行できる準備をすべて行い、債権者が受領さえすればいつでも完了することができるような状態にすることです。相手方が債務の履行を完了できるようすべて準備を行っているなら、自己の履行を拒める理由はないからです。
ただし、相手方の債務が弁済期にないために履行の提供を行っていない場合は、相手方の履行の提供がないことを理由に自己の債務の履行を拒むことはできません。

さらに、同時履行の抗弁権を主張している間は、自己の弁済期を過ぎて履行をしていなくても、履行遅滞(民法412条1項)には陥りません。

【同時履行の抗弁権主張要件】
●双務契約から生じた相対する債務であること
●相手方が債務の履行を提供していないこと
●相手方の債務が弁済期にあること

【留置権との違い】
●留置権(民法295条1項)は、他人の物を占有しているときに当該物に関して生じた債権を担保する担保物権です。相手方の履行と引き換えに、占有している物の引き渡しを拒絶することができます。また、留置権を主張するためには、占有を継続していなければなりません。一方、同時履行の抗弁権は契約から発生する債権です。
●留置権は第三者に対しても行使することができます。一方、同時履行の抗弁権は契約の相手方に対してのみ主張することができます。
●留置権の具体例は、時計の電池を交換するために時計を預け、その交換の代金が支払われるまで時計の返却を拒絶する権利です。仮に時計を預けている間に、当該時計を譲り受けた新所有者が時計の返却を求めたとしても、占有者は代金が支払われるまでは時計の返却を拒絶することができます。一方、同時履行の抗弁権は、電池の交換代金を支払わなければならないのはもともとの所有者なので、新所有者に対して当然に交換代金を請求できるわけではなく、代金を支払わなければ時計を返さないと主張することはできません。

 

2021年7月4日 ご執筆U様
(※ 解説内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

民法 第533条」への2件のフィードバック

  1. 鈴木 より:

    双務契約を理解する上で、非常に重要となる「同時履行の抗弁権」。
    身近な売買契約を例にした解説は非常に分かりやすく、対抗要件もシンプルにまとめて記載されている点が良いと思います。

    相手方の「期限の利益」も見落としがちなポイントですが、この点においても平易な表現によって、腹落ちがしやすいですね。

    そして混同しやすい留置権との比較も有難かったです。
    第三者への対抗力や、不可分性等の権利性質を整理するのに役立ちました。

    1. yafuoo より:

      鈴木様、いつもコメントありがとうございます。
      この条文も、実生活における買い物などをイメージすると頭に入ってきやすいですよね。
      同時履行は、「物を買うなら同時にその対価であるお金等を払う」という、多くの人が何も考えなくても公平感があるシックリする行為だと思います。
      今晩もスーパー行って、同時履行を体験してこようと思います(笑)

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